建設汚泥について

廃棄物とは

産業廃棄物とは

廃棄物とは、「自ら利用できない。」「または他人に有償で売却できない。」により、占有者が不要になった物をいいます。 したがって、占有者が金銭を付けて処理を依頼する物はもちろん、無償で譲渡する物も 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45年法律第137号)(以下「廃棄物処理法」という。)に規定する廃棄物の対象となります。

他の誰もが有償で引き取らないような廃棄物を、自分で土地造成のために 有効利用しようとしたとしても、 その廃棄物が他人に有償売却できない不要物である限り、この土地造成は廃棄物の埋立処分とみなされます。

事業活動に伴って生じた廃棄物であって、法令により定められた燃え殻、汚泥など20種類の廃棄物をいいます。
 
 また、これら20種類の産業廃棄物が混合した状態で排出されるものは、2種類以上の産業廃棄物の混合物とみなし、 例えば「タンクスラッジ」は、廃油と汚泥の混合物としてとらえることができます。

建設汚泥及び建設汚泥処理物とは

環境省では建設汚泥及び建設汚泥処理物について、「環廃産発第276号」に定義し、以降これを参照しています。

環廃産発第050725002号 平成17年7月25日 建設汚泥処理物の廃棄物妥当性の判断指針について

工作物の建設工事に伴って大量に排出される産業廃棄物たる建設汚泥 (「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について」(平成13年6月1日付け環廃産発第276号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課長通知)で規定する建設汚泥をいう。以下同じ。)・・・)

環廃産発第060704001号 平成18年7月4日 建設汚泥の再生利用指定制度の運用における考え方について

建設汚泥 (「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について」(平成13年6月1日付け環廃産発第276号本職通知)の2.3(7)で規定する建設汚泥をいう。以下同じ。)・・・)

環廃産発第276号 平成13年6月1日 建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について(通知)

・・・(抜粋)・・・
(7)建設汚泥の取扱い
地下鉄工事等の建設工事に係る掘削工事に伴って排出されるもののうち、含水率が高く粒子が微細な泥状のものは、無機性汚泥(以下「建設汚泥」という。)として取り扱う。また、粒子が直径74ミクロンを超える粒子をおおむね95%以上含む掘削物にあっては、容易に水分を除去できるので、ずり分離等を行って泥状の状態ではなく流動性を呈さなくなったものであって、かつ、生活環境の保全上支障のないものは土砂として扱うことができる。

泥状の状態とは、標準仕様ダンプトラックに山積みができず、また、その上を人が歩けない状態をいい、この状態を土の強度を示す指標でいえば、コーン指数がおおむね200kN/m2以下又は一軸圧縮強度がおおむね50kN/m2以下である。

しかし、掘削物を標準仕様ダンプトラック等に積み込んだ時には泥状を呈していない掘削物であっても、運搬中の練り返しにより泥状を呈するものもあるので、これらの掘削物は「汚泥」として取り扱う必要がある。なお、地山の掘削により生じる掘削物は土砂であり、土砂は廃棄物処理法の対象外である。

この土砂か汚泥かの判断は、掘削工事に伴って排出される時点で行うものとする。掘削工事から排出されるとは、水を利用し、地山を掘削する工法においては、発生した掘削物を元の土砂と水に分離する工程までを、掘削工事としてとらえ、この一体となるシステムから排出される時点で判断することとなる。

参考として、次に代表的掘削工法について例示する。

泥水循環工法の一例(泥水シールド・リバースサーキュレーション工法等)
泥水非循環工法の一例(泥土圧シールド工法)
泥水非循環工法の一例(アースドリル工法等)
柱列式連続壁工法の一例(SMW工法等)

建設汚泥とは、建設工事に伴って副次的に発生する廃ベントナイト泥水や含水比の高い粒子の微細な泥状の掘削土で、 他工事の盛土等にそのまま流用できないものの総称です。建設汚泥が発生する工法の例を以下に示します。

工種建設汚泥の発生プロセス
地中連続壁工法    安定液や泥水などの性状が劣化して使用できなくなったり、余剰または工事終了にともなって不要となったもの等が建設汚泥として発生する。 また、これらの工法による掘削土も砂・レキを除き、多くの場合建設汚泥となる。
リバース杭工法   
泥水式シールド工法         
柱列式連続壁工法   現地盤に噴出したセメントミルクと現地盤の土砂が混ざり合って地上に排出されたものが建設汚泥となる。
高圧噴射攪拌工法   
開削工法       軟弱な粘性土地盤の掘削土は強度が小さい場合には建設汚泥となる。

建設汚泥の具体的な性状は、車輌に山積み状に積載できないもの、その上を人が歩けないもの、 また、運搬途上で流動化するものとされています。このような状態は土質工学的な強度指標で示すと、コーン指数でおおむね200kN/m2以下が目安となります。

建設リサイクル推進計画2014

平成26年9月1日 国土交通省

建設汚泥の再資源化・縮減率は平成24年度目標値82%に対して、実績値85.0%と目標達成しているものの、他の品目に比べて再資源化・縮減率が低いことから、もう一段高い数値目標を設定する。

対象品目平成24年度実績平成30年度目標
アスファルト・コンクリート塊再資源化率99.5%99%以上再資源化率が低下しないように維持
コンクリート塊99.3%99%以上
建設発生木材資源化・縮減率94.4%95%以上引き続き目標達成を目指す
建設汚泥85.0%90%以上より高い数値目標を設定
建設混合廃棄物 排出率※13.9%3.5%以上指標を排出量から建設混合廃棄物排出率※1と再資源化・縮減率に変更
再資源化・縮減率58.2%60%以上
建設廃棄物全体再資源化・縮減率96.0%96%以上より高い数値目標を設定
建設発生土建設発生土
有効利用率※3
80%以上指標を利用土砂の建設発生土利用率※2から建設発生土有効利用率※3に変更
  • ※1全建設廃棄物排出量に対する建設混合廃棄物排出量の割合
  • ※2土砂利用量に対する現場内利用および工事間利用等による建設工事での有効利用量の割合
  • ※3建設発生土発生量に対する現場内利用およびこれまでの工事間利用等に適正に盛土された採石場跡地復旧や農地受入等を加えた有効利用量の割合

平成24年度建設副産物実態調査結果について

国土交通省は、平成17年度に全国の建設工事から排出された建設副産物を対象とした排出量・再資源化等の状況についての調査結果を公表しました。

平成26年3月27日 国土交通省

排出量の動向

平成17年度の建設廃棄物の排出量は7,700万トンで平成14年度比約7%減

再資源化の状況

建設汚泥は、平成7 年度以降上昇傾向にあったが、平成24 年度は平成20 年度と横ばいである。

建設汚泥の再資源化・縮減率平成17年度平成20年度平成24年度
74.5%85.1%85.0%

*()内数値は縮減を除く再資源化率

建設廃棄物の排出状況

建設汚泥は、平成7 年度以降上昇傾向にあったが、平成24 年度は平成20 年度と横ばいである。

場外排出量再資源化縮減量最終処分量
(万トン)量(万トン)率(%)(万トン)(万トン)
平成14年度建設汚泥84638345.3%197265
建設廃棄物全体8,2737,18186.8%395697
平成17年度建設汚泥75236047.9%200192
建設廃棄物全体7,7006,73687.5%364600
平成20年度建設汚泥45131569.8%6967
建設廃棄物全体6,3815,84191.5%138402
平成24年度建設汚泥65745268.8%10798
建設廃棄物全体7,2696,83294.0%147290

「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」の策定について

環境省は、排出事業者(元請建設会社など)が処理業者に提供すべき産業廃棄物情報の内容を具体的に解説した 「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」が作成され平成18年4月28日に公表し、同年7月1日より施行される。
本ガイドラインの目的は自然発火や化学反応による事故や有害廃棄物の混入等の課題があるため、廃棄物情報の適切な伝達が求められており、 排出事業者が提供すべき廃棄物の性状等の情報について望ましいあり方を示すガイドラインを策定した。

資料添付及びHP参照http://www.env.go.jp/recycle/misc/wds/index.html

廃棄物データシート(WDS)には重金属や有機化合物の記載もするようになっており(資料参照)、 様式の使用を法的に義務付けるものではないが「適正な処理のために必要な事項に関する情報」の提供は法的に義務付けられている。 排出事業者が明らかな情報を当該処理業者に提供しなかった場合は、 委託基準違反として刑事処分の対象となり得るので注意が必要である。(3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金:法第26条第1号)

「建設汚泥の再生利用ガイドライン」などを地方支分部局に通知

「建設汚泥の再生利用ガイドライン」 平成18年6月12日の国土交通省「通知」による対策(初の総合的通知)

建設汚泥再利用の流れ

建設汚泥発生工事発生工事現場内で改良し、現場内で利用
発生工事現場内で改良し、他の工事現場で利用
(*中間処理施設や利用現場で改良する場合もあり)
再資源化施設に搬出し(製品化→販売)

(自ら利用)自ら処理

(再生利用制度の活用)
環境省通知と関連

(有償譲渡)

「建設汚泥の再生利用に関するガイドライン」

※土壌環境基準、含有量基準に適合しない建設汚泥は対象外

発注者の責務と役割

  • 元請業者に適正な処理費用の負担
  • 設計図書に示す
  • 条件明示、指定処分
  • 元請業者から代替案があれば協議
  • 積極的な再利用先の確保
  • 発注前段階から積極的に都道府県等環境部局に事前相談

元請業者の責務と役割

  • 設計図書に示された工法、再生利用について速やかに内容確認
  • より適切な方法があれば発注者に代替案を示す
  • 発生抑制、再生利用促進の積極的取り組み
  • 他の者に委託する場合は、適正な処理業者に委託

「建設汚泥の再生利用に関する実施要領」

特記仕様書への記載

  • 発注者は元請業者に本実施要領の遵守を特記仕様書に記載する
  • 発注者は設計業務受注者に対してガイドラインの趣旨を特記仕様書に規定する

「建設汚泥処理土利用技術基準」

  • 土壌環境基準及び含有量基準に適合しないものは本基準の対象外とする
  • 廃棄物処理法を遵守する(特に生活環境の保全に留意)
  • 建設汚泥は産業廃棄物のうち「無機性汚泥」として取り扱われる
  • コーン指数は200KN/㎡以上、一軸圧縮強度50KN/㎡以上

「リサイクル原則化ルール」経済性にかかわらず実施する

建設汚泥を工事現場から排出する場合

  • 建設汚泥処理土として再生利用させるために、他の工事現場に搬出(改良可能時)
  • 他の建設工事で建設汚泥処理土として再生利用させるため、再資源化施設に搬出
  • 製品化させる(建設汚泥処理土以外の形で再生利用)ため、再資源化施設に搬出

建設発生土及び建設汚泥処理土の利用

工事現場から50kmの範囲内に・・・建設汚泥(改良が可能な場合)を搬出する他の建設工事もしくは建設汚泥処理土を製造する再資源化施設がある場合・・・原則として建設汚泥処理土を利用する。

「建設汚泥の再生利用指定制度の運用における考え方について」

「建設汚泥の再生利用指定制度の運用における考え方について」           

環境省 平成18年7月4日通知


建設汚泥は
「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について」(環廃産発276号)
建設汚泥処理物は
「建設汚泥の廃棄物該当性の判断指針について」(環廃産0507002号)

別添  建設汚泥の再生利用指定制度の運用における考え方
建設汚泥の再生利用を促進するための方法


:都道府県知事又は法律施行令第27条に規定する市の長による再生利用に係る指定制度の活用が期待される。

「指定を受けたものが扱う建設汚泥処理物は、再生利用されることが確実であるため、必ずしも有償譲渡されるものでなくとも、 再生利用に供される場所へ搬入された時点において、建設資材として取引価値を有する」

(再生利用が確実であることを確保するための確認事項)

  • 搬出・利用計画等
  • 建設汚泥処理物の利用用途及び品質
  • 建設汚泥の処理工程
  • 建設汚泥及び建設汚泥処理物の運搬管理
  • 施工計画
  • 建設汚泥処理物の保管

(その他)

  • 手続きの簡素化、期間短縮

※建設汚泥の再生利用全般については「施設設置に係る許可」や「排出事業者における保管基準」、 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」による各種規定が適用されるが、ここでは特に「記述しないので留意されたい」。

:指定を受ける者は、指定に係る建設汚泥又は建設汚泥処理物の収集・運搬又は中間処理を行う者である。

(建設汚泥の再生利用に関しては、排出工事の発注者や元請工事業者が重要な役割を担っている場合が多いとして、これらの者による都道府県等環境部局への事前相談等を明記しているところである。)

指定に係る関係者の組み合わせ

パターン(排出現場)(中間処理施設)(利用場所)
1-①(*1)排出工程(排出後)
運搬→
処理工程(処理後)
運搬→
利用工程
1-②(*2)排出工程(排出後)
運搬→
処理工程(処理後)
運搬→
利用工程
2排出工程(排出後)
処理工程
(現場内処理)→(処理後)運搬
利用工程
3排出工程(排出後)
運搬
処理工程
(現場内処理)→(処理後)利用工程

*1)自ら処理をしている人が他人の処理を受託する場合(施設許可が別途必要)
*2)産業廃棄物処理業の許可業者が受託する場合

再生が確実であることについての確認

(1)搬出・利用計画等

指定の審査時には・・・以下の書類等がある。
  • 再生利用の実施に関する排出側と利用側の確認書
  • 建設汚泥処理物の工事間利用調整確認書
  • 法令又は公的機関等により認可された工事である証明
  • 再生利用計画が反映された工事発注仕様書又は再生資源利用促進計画書(参考1)
  • その他、事前協議文書等再生利用の実施を確認できる行政書類

(2)建設汚泥処理物の利用用途及び品質

「建設汚泥処理土利用技術基準」
「建設汚泥処理土の適用用途基準」

(3)建設汚泥の処理工程

(審査時)指定の審査時

  • 汚泥発生量見込が適切か
  • 計画処理量にあった処理能力を有しているか
  • 品質が確保できる設備か(試験等で実証されているか)
  • 固化材の品質と添加量(試験等で実証されているか)
  • 生活環境保全上の支障はないか
  • ストックヤードは十分か
  • 施設の運転体制は
  • 建設汚泥の処理量、固化材購入量、添加量、建設汚泥処理物の発生量等の運転記録の管理体制

(運用時)

  • 申請された施設、ストックヤード等が申請どおり設置されているか
  • 振動、悪臭等の生活環境保全上の支障を生じていないか
  • 適切な運転管理がなされているか

(4)建設汚泥及び建設汚泥処理物の運搬管理体制

(5)施工計画

(6)建設汚泥処理物の保管

WDS(廃棄物データシート)

排出事業者は、その産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を含む)の処理を処理業者に委託する場合には、法に定める委託基準に従って委託しなければならない(法第12 条第4 項、第12 条の2 第4 項)。委託基準においては、委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な事項に関する情報(規則第8 条の4 の2 第6 号)を委託契約の中で処理業者に提供することとされており、本ガイドラインは廃棄物処理法施行規則第8条の4の2に掲げる事項について、排出事業者が参考にできるよう、WDS として具体的に示している。

廃棄物処理法施行規則第8条の4の2(委託契約に含まれるべき事項)

六 委託者の有する委託した産業廃棄物の適正な処理のために必要な次に掲げる事項に関する情報

  • 当該産業廃棄物の性状及び荷姿に関する事項
  • 通常の保管状況の下での腐敗、揮発等当該産業廃棄物の性状の変化に関する事項
  • 他の廃棄物との混合等により生ずる支障に関する事項
  • その他当該産業廃棄物を取り扱う際に注意すべき事項

「2.3 情報提供の方法」で示すWDSの様式は、必要な廃棄物情報に関して具体化した項目を例示したものであり、様式の使用を法的に義務付けるものではない。
ただし、「適正な処理のために必要な事項に関する情報」の提供は法的に義務づけられており、処理業者が当該産業廃棄物の処理を行う上で明らかに必要な情報を排出事業者が当該処理業者に提供しなかった場合は、委託基準違反として刑事処分の対象となり得るので注意が必要である(3 年以下の懲役若しくは300 万円以下の罰金:法第26 条第1 号)